
【北京=川手伊織】中国国家統計局が17日発表した2022年10~12月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比2.9%増えた。7~9月の3.9%増から減速した。新型コロナウイルスの封じ込めを狙った「ゼロコロナ」規制が経済活動の足かせとなり、12月の緩和後は感染の急拡大で消費などが冷え込んだ。
同時に発表した22年通年の実質成長率は3.0%で、政府目標の「5.5%前後」を大幅に下回った。コロナ流行初期の20年(2.2%)を除けば、マイナス成長だった1976年以来の低水準となった。

22年10~12月の前年同期比伸び率は、日本経済新聞社と日経QUICKニュースが調べた市場予想の平均(2.8%)をわずかに上回った。
季節要因をならした前期比は横ばいだった。生活実感に近い名目GDPは前年同期から3.5%拡大した。
GDPと同時に発表した他の統計からも景気の失速ぶりは見て取れる。
企業部門では、22年通年の工業生産は前年比3.6%増えた。1~9月の前年同期比3.9%増から鈍化した。コロナ感染をめぐる混乱で国内需要が冷え込み、世界経済の減速懸念も強まり、自動車やパソコンの生産が不調だった。
工場の建設などを示す22年の固定資産投資は5.1%増だった。このうち政府が景気の下支え役と位置づけるインフラ投資は9.4%伸びたが、固定資産投資の伸びは1~9月の5.9%増から縮まった。22年の不動産販売面積も24.3%の大幅減となった。
家計部門も伸び悩んだ。百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は前年を0.2%下回った。マイナスは2年ぶり。1~9月の前年同期比0.7%増から減少に転じた。外食や娯楽などサービス業の打撃が大きかった。
外需も成長を押し下げる要因となった。10~12月の輸出入はともに前年同期比7%減で、2年半ぶりに減少した。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字も前年同期を7%下回った。
ゼロコロナ政策などで景気の低迷が長引き、雇用や所得の回復も勢いを欠く。22年の都市部の新規雇用は1206万人で前年比5%落ち込んだ。1人当たり名目可処分所得の伸びは5.0%で、1~9月時点の5.3%から鈍った。
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