自らの利益を追い求めることは資本主義経済の原動力だが、格差や分断も生む。米国仕込みの経済学者、小島武仁さん(41)は「マッチング理論」を使えば、個人の利益を追い求めつつ、各自の希望もかなえられると言う。新型コロナワクチンの予約管理にも使え、グーグルも人事戦略に使うこの理論。そんなうまい話はあるのか。
東京大学マーケットデザインセンター長 小島武仁さん
――政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の経済学者とともに、先着順のワクチン予約の見直しを求める提言をしました。
「多くの自治体が採用するこの予約システムの欠点は、早い者勝ちになっていることです。そうなると、『自分が早い者になりたい』となる。我が家も母親の予約を取るため、家族総出で午前0時にパソコンの前でスタンバイしました。こうした労力は大きな無駄であり、ストレスがかかります」
「すべての高齢者にパソコンを使える子どもや孫がいるわけではないので、公平性という点でも問題です。抽選や年齢によって優先順位をつける方法に変えれば、経費をそれほどかけずとも、問題が解決できる可能性があります」
――どういう理屈ですか?
「社会が抱える諸問題は、人…
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人は自分の利益で動く ワクチン予約熱を読み違えた政府 - 朝日新聞デジタル
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