欧州中央銀行(ECB)は歴史的な利上げサイクルの終了を近く宣言することはできないだろうと、ラガルド総裁が述べた。
同総裁は27日、ポルトガルのシントラで開催中のECB年次フォーラムの基調演説で「ECBが近い将来に完全な自信を持ってピーク金利に達したと宣言できる可能性は低い」とし、「見通しに大きな変化がない限り、7月も利上げを続ける」と語った。

ラガルド総裁(ポルトガルのシントラで)
Source: Bloomberg
総合インフレ率は低下してもコアインフレ率が高止まりする中で、ECBの引き締め最終段階が注目を集めている。エコノミストの過半数はECBが7月に中銀預金金利を3.75%とした後に利上げを停止すると予想しているものの、短期金融市場は年内に4%前後でピークを付けるとの見方を織り込んでいる。
問題は利上げの効果がどの程度の遅れで経済に浸透していくかだ。
ラガルド氏は引き締めの初期の効果が見え始めているとし、金利変動に敏感なセクターである製造業と建設に特に顕著だと指摘。その上で、「実際に政策の伝達がどの程度強いかが、利上げのインフレに対する効果を左右するだろう。それが政策軌道の見通しに反映されることになる」と述べた。
経済の動向は悪化している。26日発表されたドイツの Ifo景況感指数は予想外の大きな低下だった。先週の データはユーロ圏経済の勢いが6月にほぼ失速したことを示した。
カザークス・ラトビア中銀総裁は27日ブルームバーグテレビジョンに、ユーロ圏の経済は「軟化」の方向にあるが、それだけでインフレ率を低下させるほどの弱さではないと指摘、7月より後の利上げの可能性を示唆した。
リトアニア中銀のシムカス総裁も夏の後の利上げの可能性を排除せず、「9月も利上げを続けたとしても驚かない」と述べた。
ベルギー国立銀行(中銀)のウンシュ総裁はマーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、現時点から9月会合までに発表される3回のインフレ統計で、コアインフレが毎回低下した場合のみECBは9月に利上げを停止すべきだとの考えを示した。

Source: Bloomberg Economics
ピーク金利の水準がどうなるにせよ、金利はその水準でしばらく据え置かれることになりそうだ。
ラガルド総裁は「金利を『必要な限りピーク水準に』据え置くことを明瞭に伝える必要がある。それにより、利上げが尚早な政策転換の期待を引き起こすのを防ぎ、過去の行動の効果を完全に実現させることができる」と述べた。
総裁はまた、インフレで目減りした所得を取り返そうと労働者が賃上げを求める中で、「インフレプロセスの第2段階」が勢いを増していると指摘。「より執拗(しつよう)なインフレに対しては、より執拗な政策が必要だ。いま十分に引き締めるだけではなく、インフレプロセスの第2段階が解消されたと確信が持てるまで景気抑制的な状態を保つ必要がある」と語った。
関連記事:
原題: Lagarde Says ECB Won’t Be Able to Declare Rate Peak Soon (3)、 Lagarde Says ECB Won’t Be Able to Declare Rate Peak Soon (1)、Wunsch: Core CPI Must Fall Next 3 Times for ECB Sept. Pause: MNI(抜粋)
(ウンシュ・ベルギー中銀総裁の発言を第9段落に追加します)
ECB、ピーク金利に達したと近く宣言できない-ラガルド総裁 - ブルームバーグ
Read More
No comments:
Post a Comment