欧州中央銀行(ECB)は27日、0.75ポイントの利上げを発表した。中銀預金金利はこれまでの2倍となり、10年余りで最高。リセッション(景気後退)の可能性が高まる中でも記録的インフレを抑え込むことを優先した。
2会合連続の0.75ポイント利上げはエコノミストの予想通りだった。7月利上げ前までマイナスだった中銀預金金利は1.5%に引き上げられた。当局者らは「金融緩和の引き揚げが相当大きく前進した」とコメントした。
ECBは声明で「インフレ率は引き続きあまりにも高く、長期にわたって目標を上回り続ける見込みだ」と指摘。政策委員会は「一段の利上げを想定している」と表明した。利上げは「さらに」継続するとし、これまでの「数回の会合にわたり」という文言は使わなかった。

エネルギー市場の混乱がユーロ圏経済に打撃を与える中でも大幅利上げを続けることで、ECBはインフレを抑制する決意をあらためて示した。
ラガルド総裁は記者会見で、「ユーロ圏の経済活動は第3四半期に著しく減速した公算が大きい」とし、「今年の残り期間と来年序盤にかけて一段と軟化すると予想している」と語った。
金利見通しに関する文言の変化について尋ねられた総裁は、正確な道筋は会合ごとに決定するとした上で、今後「数回の会合」での利上げの可能性は十分にあると述べた。金利の正常化はまだ完了しておらず、「まだしなければならないことがある」と言明した。
短期金融市場では利上げ幅予想が最大20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。中銀預金金利が来年に2.75%弱でピークに達するとの予想に修正された。先週は3.25%超が想定されていた。ユーロは下げ幅を広げた。

ECBはまた、新型コロナウイルス禍時代に銀行に低コストで提供した条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)の残高2兆ユーロ(約294兆円)余りについて、融資の条件を引き締めた。最近の急速な利上げで、銀行が同プログラムで借り入れた資金をECBの口座に滞留させるだけでリスクゼロの利益が得られることが問題になっていた。
TLTROはデフレの可能性が懸念された時期に設計されたが、「並外れた」物価上昇に対処するための利上げの効果をいまや妨げているリスクがあると、ラガルド総裁は指摘した。
ECBを悩ますTLTRO残高-銀行のただ乗りに加えインフレの火種
ラガルド総裁は、成長見通しへのリスクは「明白に」下振れ方向だとも述べ、消費者と企業の借り入れコスト上昇と信頼感低下に言及した。インフレについては逆だと語り、リスクは上方向だとの認識を示した。
ECBは最終的に、これまでの危機に対応して購入してきた5兆ユーロ規模の債券ポートフォリオを圧縮する必要がある。量的引き締め(QT)として知られるこのプロセスを巡る議論は非公式に始まっているが、具体的な行動は来年になる見込み。
ラガルド総裁は、今回の会合ではQTを協議しなかったが、12月会合では議題になると言明。今回決めたのは、これについて「12月に議論し、債券購入プログラム(APP)のポートフォリオ圧縮の主要な原則を決定する」ことだと説明した。
ただ、議論について知る複数の当局者によると、ECBは12月にQTの開始日時を発表することは現時点で計画していない。ECB報道官は計画に関してコメントを控えた。
原題:ECB: Change in Remuneration of Minimum Reserves to Start Dec. 21、Lagarde Says ECB Hasn’t Finished Normalizing Interest Rates、 ECB Doubles Rate to Most in Over a Decade Despite Recession Fear、 ECB Doubles Rate to Most in Over a Decade Despite Recession Fear、 ECB Doesn’t Plan to Set QT Start Date in December Discussions(抜粋)
(最終段落下にリンクを加え、デックヘッドを更新します)
ECBが中銀預金金利2倍に、10年余りで最高-TLTRO条件も変更 - ブルームバーグ
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