東芝は7日、今後2年間で3000億円程度の適正資本水準を超える資本が見込まれることから、分社化の実施に影響しないよう配慮しながら、超過分を自己株取得を含む株主還元に充当すると発表した。

東芝本社のロゴ
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
また、同社は昨年11月に公表した3社分割の再編計画を見直し、デバイス事業を分離して上場し、エネルギー・インフラ事業を含む東芝本体と合わせて上場会社2社に分ける計画を発表した。それぞれの会社の安定的な財務体質の確保が可能になり、再編スキームの不確実性を大幅に減らすことが可能と判断した。
綱川智最高経営責任者(CEO)は7日開催の投資家向け説明会で、「戦略的再編がそれぞれの事業の競争力を高め、成長を実現するためのステップであり、ステークホルダーにとっての価値を最大化できる最善の道だと確信している」と説明。昨年11月から数カ月での見直しとなったが、最適解に向かっての改善・改良は「必要なステップ」だったとの認識を示した。
発表によると、株主還元については昨年11月時点で自己資本の水準を超える資本として1000億円を想定していた。しかし、今回発表になった2分割の計画に伴って自己資本の水準を見直した結果、2000億円が追加されたとしている。
2社分割が実現した場合には東芝の株主は2社それぞれの株主になる。株主の意見を聞く臨時株主総会は、3月末までに開催する方針。綱川氏は現時点では正式決定していないとした上で、「勧告的決議による普通決議を想定している」と述べた。
キオクシア
議決権で40.6%を保有する半導体大手の キオクシアホールディングスについては、速やかに現金化するとの 従来方針を確認した。同社に対してできるだけ早期に新規株式公開(IPO)するよう要請したほか、相対取引による現金化も含めさまざまな方策について検討しているという。手取り金については全額を株主還元に充てる予定。
綱川氏はキオクシアのIPOに関連して、「タイミングはベインが決めること。われわれは書面で正式に早くするよう依頼している」と述べた。
一方、同社は7日午前、空調子会社の東芝キヤリア(川崎市)の保有する60%の株式のうち、55%を米キヤリアに売却すると発表した。
東芝、空調子会社を米キヤリアに約1000億円で売却ー保有率5%に(1)
空調事業のほか、エレベーター事業と照明事業も非注力事業と位置付けて売却する方針を発表。2022年中に売却手続きを開始し、23年3月期中に最終的な合意を目指すとした。
東芝テックも非注力事業に位置付けたが売却はせず、 東芝テック自身の中長期の成長プランを促進するため、できるだけ早期に東芝と東芝テックが連携する方針を打ち出した。
発表を受けて東芝テックの株価は急反発した。一時前週末比15%高の4980円まで買われた後、14%高の4945円で取引を終えた。一方、東芝株は一時同4.5%高の4937円まで買われたが、終盤に急速に伸び悩み終値は同1.6%高の4800円となった。

株主との攻防
東芝は昨年11月、インフラサービス事業とデバイス事業の2社をそれぞれ新規上場会社として分離するほか、キオクシアの株式管理などを担う東芝本体と合わせて3社体制とする計画を公表した。
だが、この計画を巡っては一部の株主が計画に異を唱えていた。シンガポールの資産運用会社 3Dインベストメント・パートナーズは、分割計画の実施を義務付ける定款を盛り込むことなどを求めて臨時株主総会の招集を要求。
米資産運用会社の ファラロン・キャピタル・マネジメントも議決権の3分の2以上の賛成獲得が条件だと声明を 発表。一方、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントは、臨時株主総会までに賛否を判断するとしていた。
綱川CEOは再編計画の見直しについて「株主と向き合うことを回避するために変更したわけではない」と述べた。
(説明会の内容を追加して記事を更新します)
東芝、株主還元今後2年間で3000億円-3社分割の再編計画見直し - ブルームバーグ
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